仏教が説く「報復の愚かさ」と現代の戦争：インド・パキスタンやロシア・ウクライナに学ぶべきこと

2025年5月15日

仏教の基本教義：報復はさらなる苦しみを生む

仏教では、「怒りを怒りで制すことはできない。怒りを捨てることでのみ怒りは鎮まる」と『ダンマパダ』に記されています。
これはまさに、報復の連鎖がいかに愚かで非生産的であるかを示す核心的な教えです。

釈迦は、復讐や報復ではなく、慈悲と忍耐によって人間関係や社会を改善すべきと説いています。怒りに怒りで応じれば、憎しみは永遠に終わらないのです。

インドとパキスタンは1947年の分離独立以来、カシミール問題をめぐって繰り返し戦争・衝突を起こしてきました。核保有国同士の小競り合いは、世界的にも極めて危険な地域のひとつと見なされています。

テロ攻撃への報復爆撃、軍事演習による威嚇など、報復的な行動が続けば続くほど、和平の可能性は遠のいています。

2022年に始まったロシアのウクライナ侵攻も、過去のNATO拡大や領土問題を背景とした報復的動機が根底にあります。
一方ウクライナも、主権を守るために報復・抵抗を繰り返しており、戦争は長期化の様相を呈しています。

もし仏教的な「執着を手放す智慧」や「報復を超える慈悲の発想」が国際政治に反映されていれば、ここまでの破壊と犠牲は避けられたかもしれません。

仏教は「敵を赦すことこそ、真の強さである」と説きます。現代の世界情勢では、すぐに相手を叩く、制裁を加えるという選択肢が先に立ちますが、対話・対等・和解の道こそが、真に長続きする平和の土台です。

政治だけでなく、私たち一人一人の人間関係においても「報復ではなく理解を」という仏教的視点が求められています。

世界中で争いが絶えない今こそ、仏教が説く「報復は愚かである」という教えが必要です。インド・パキスタン、ロシア・ウクライナといった紛争地に共通するのは、過去の憎しみを手放せない人間の執着です。

争いの火種を絶やすには、まず私たちの心から“報復したい衝動”を静かに見つめ、手放すことから始めましょう。